2010-01-01から1年間の記事一覧

岩波書店版「失われた時を求めて」

岩波から出版された吉川一義訳「失われた特を求めて」、第一篇「スワン家のほうへ1」、この一冊にぼくは魅了された。訳文が他の三種類の翻訳に比べて最もすんなりと自分のなかに入ってくるのだ。フランソワーズがこれほど生き生きしているとは…。以前、吉川…

光文社に続いて岩波からも

2010年9月に光文社古典新訳文庫の一環として、高遠弘美さんの訳でマルセル・プルーストの小説「失われた時を求めて」第一篇「スワン家の方へ1」が出版された。これで、現時点でわが国では1)筑摩書房 井上究一郎訳2)集英社 鈴木道彦訳3)光文社 高遠弘…

第13回笹尾光彦展

笹尾光彦展が昨年http://d.hatena.ne.jp/mii0625/20091112に続いて今年も10月8日から20日まで渋谷の東急Bunkamuraギャラリーで開催されている。笹尾さま御自ら2011年の卓上カレンダーを送ってくださった。来年が世界にとって、日本にとっ…

みならいクノール

みならいクノール (わくわくライブラリー)作者: たざわりいこ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/10/06メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (1件) を見る昨年の五月から六月にかけて受診なさっていらした田澤さんからご著書を送っていただ…

プルースト・夢の方法

最近、また夢をみるようになった。みる夢のほとんどは大学に勤務していたころ、助手、講師時代の夢である。今年の春、桜の咲く頃亡くなった母の夢をみることはほとんど無い。プルーストの夢について深く考察した保苅瑞穂教授の『プルースト・夢の方法』を一…

セルジオ・カマリエール

猛り狂った2010年の猛暑に決定的な別れを告げるために、秋分の日が雨を連れてやって来た。そんな今日という日に ↓このセルジオ・カマリエールの映像など、いかがでしょう。

二つのボエーム

のっぴきならない問題を抱えて他に何も考えられない状態に陥ってしまった。Sよ、君ならばこのことは良く解かってくれるだろう。 しかし、そうそう緊張状態を続けてばかりはいられない。今日はコヴェントガーデン王立歌劇場で2008年に上演されたプッチー…

夏の名残のバラ

暦のうえでは「立秋」である。今夜、世田谷では12時すぎてから雨が本降りになった。YouTubeで「夏の名残の薔薇」と検索すると↓の映像が見つかった。 アイリッシュローズといえば本家ほんもとキース・ジャレットの演奏するマイ・ワイルド・アイリッシュローズ…

アスリートの足

梅雨真っ最中である。高温・多湿のこの時期、足の痒みでおみえになるかたの多くは「みずむし」を心配していらっしゃる。英語で「みずむし」のことを何と言うかご存知だろうか?英語で「みずむし」は「アスリートの足」athlete's foot という。「アスリート」…

「ジェントルマンの極意」

6月23日水曜日の夕刻、S先生と約一年ぶりにお会いし、スペイン料理をご馳走になった。2010年は母の死を予感し、新年早々から精神的に緊張していたのだろう。ベートーヴェンのナイン・シンフォニーを改めて聴き直すという作業を行っていた。母は3月に…

フルトヴェングラーの「英雄」

フルトヴェンフラーは1952年の秋、11月27日の演奏に続いて、その3日後同じウィーン・フィルと、そしてその約一週間後の12月8日にはベルリン・フィルと、ベートーヴェンの「英雄」を指揮し演奏した。その三種類の演奏の記録を聴き比べてみる、などということ…

手に水泡

今年は例年にも増して「手に水泡が出来て、痒くてたまらない」ということで受診される方が多い。拝見すると、みなさん、例の「汗疱」(カンポウ)http://d.hatena.ne.jp/mii0625/20050307 である。図を描いて説明し、けっして水虫では無いこと、水虫のご心配…

ベートーヴェン交響曲第九番「合唱」

ベートーヴェン最後のシンフォニー第九番「合唱」のわが愛聴盤は前回の日記に記したとおりオットー・クレンペラー/コンセルトへボウ盤である。 http://www.hmv.co.jp/product/detail/1227302 クレンペラーの第九では植村攻さんも詳述されておられるが、↓こ…

ベートーヴェン交響曲第八番

第五、第六、第七と傑作シンフォニーを続けて作曲してきたベートーヴェンも、ここにきてちょっと一服、次の超大作第九に向けて肩の力を抜いたリラックス作品として書いたのがこの第八番である。しかし、逆に言えば肩の力を抜いただけに、聴き手も妙に力まず…

ベートーヴェン交響曲第七番

「のだめカンタービレ」で一躍、広く知られるようになったベートーヴェンの交響曲第七番であるが、 第七の名演・名盤として名高いのは、これまたフルトヴェングラーである。 代表的な演奏の記録としては2種類、1943年第二次世界大戦中の放送録音としてベルリ…

ベートーヴェン交響曲第六番「田園」

ベートーヴェンの九つに及ぶシンフォニーのなかで、「田園」はぼくが最も好きな曲であり、しかもオットー・クレンペラー指揮のものでないといけない。ブルーノ・ワルターhttp://www.hmv.co.jp/product/detail/867125はダメ、フルトヴェングラーhttp://www.hm…

補遺

ヴィクトール・デ・サバタの「運命」の新譜が5月にフランスのTHARA社から発売されるのをご存知だろうか?以前THA499として発売されていたもので、1950年、NY、カーネギーホールでニューヨークフィルを振ったときのライブ。YouTubeにあったので、貼…

ベートーヴェン交響曲第五番

前回の日記で取り上げたオットー・クレンペラーのCDは二枚とも第五番が付いている、というか、第四、第五のカップリングなので、もうこのクレンペラーの第五に耳を澄ませばそれで充分なのだが、おっとどっこい、第五にはクレンペラーに対する強敵が控えてい…

ベートーヴェン交響曲第四番

優秀な兄のひでお(英雄)さんと、人気者の弟だいご(第五)君の間に挟まれた次男のよっちゃん(4っちゃん)はなかなかのくせもの(曲者)、いたずらっ子である。一筋縄ではいかないのだ。けれどもよっちゃんは名タクトに触発されればその素晴らしさ、くせ…

フルトヴェングラーの「英雄」

前回の日記でご紹介したのはサバタの第三番「英雄」だが、昨年まではベートーヴェンの交響曲第三番といえば、自分的には、これはもうフルトヴェングラーの独壇場であった。クレンペラーの「英雄」は正しい「英雄」である。とても良い解釈、演奏である。これ…

ベートーヴェン交響曲第三番「英雄」

ベートーヴェンのエロイカだけはオットー・クレンペラーで、と言う訳にはいかない。 第三番だけはフルトヴェングラー指揮のものを愛聴してきたが、ここにきてデ・サバタ/ロンドン・フィルに圧倒されている。 まるでフルトヴェングラーの「トリスタンとイゾル…

ベートーヴェン交響曲第二番

オットー・クレンペラーの指揮するベートーヴェン交響曲群はいずれも凛とした品格があってたいへん素晴らしい。「クラシカ・ジャパン」設立当初に放映された英国BBCの“クレンペラー・ベートーヴェン全曲放送”録画映像はクレンペラーの指揮姿とともに我が宝物…

ベートーヴェン交響曲第一番

母の状態が悪化したときに、無意識に手を伸ばして棚から取り出し、プレーヤーに架けたのは図らずもアルトゥーロ・トスカニーニが手兵のNBCオーケストラを振ったものではなく、BBCオーケストラを振ったNAXOS盤だった。 数あるベートーヴェン交響曲第一番の録…

ベートーヴェン連続鑑賞記

3月23日に母が他界した。花を愛し、歌を愛した母だった。母を失った前後、約2ヶ月に亘ってぼくはベートーヴェンの交響曲を聴いていた。ようやく、母の死を心の中のあるべき位置に置くことが出来つつあるぼくにとって、ベートーヴェンのシンフォニー群はその…

チック・コリア初登場

ぼくはワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」が好きで、いろいろな演奏を聴いてきたのだが、マイ・ベスト・スリーの演奏中に入る音の記録を残してくれたのがヴィクトール・デ・サバタなのだった。デ・サバタはあのトスカニーニの跡を次いでミラノ・スカラ座…

ラモーを聴きながら…

サバタのブラームス第4に感動して、サバタが指揮するワーグーナー「トリスタンとイゾルデ」から「イゾルデの愛の死」の動画を貼り付けるのではあまりにも当たり前。ここはこの1週間良く聴いたオットー・クレンペラーの「ラモー」を聴きながら…、帰し方・行く…

我が愛しのブラームス

日記の更新が滞ってしまったのには訳がある。新年になってから或る指揮者に心を奪われてしまったからだ。この数週間、彼の指揮するCDを聴くことに集中し過ぎてしまった。疲れて、さてブログを更新しようかと、久しぶりに、まさかYouTubeにアップされているは…

アルプス交響曲聴き比べ

ローラン・プチのバレエ「失われた時を求めて」はHNVで購入したのだが、例の3品購入で30%引きというキャッチフレーズに惹かれて、クナッパーツブッシュとティーレマンの指揮をワーグナー以外でも聴き比べてみようと思い、リヒヤルト・シュトラウスの「ア…

バレエ「失われた時を求めて」

前回の日記に書いたパリ・オペラ座バレエ「プルースト〜失われた時を求めて」を観る。そもそもチャィコの「白鳥の湖」はおろか、ワーグナーの「タンホイザー」でさえも、バレエのシーンは避けたがるほどのバレエ音痴のぼくが、飽きずに最後までこの映像を観…

バレエで観るプルースト

昨夜、“パリ管弦楽団”で検索していたらパリ・オペラ座バレエの“PROUST”と題されたDVDを発見した。 さっそく観てみようと思う。ローラン・プティ (Roland Petit, 1924年1月23日生)の振り付けと、マニュエル・ルグリのシャルリュス男爵が凄いらしいぞ。http:…