岩波書店版「失われた時を求めて」

岩波から出版された吉川一義訳「失われた特を求めて」、第一篇「スワン家のほうへ1」、この一冊にぼくは魅了された。

訳文が他の三種類の翻訳に比べて最もすんなりと自分のなかに入ってくるのだ。

フランソワーズがこれほど生き生きしているとは…。

以前、吉川一義さんの「プルーストの世界を読む」を読んだときは、それほど惹きこまれはしなかったので、こんどの「スワン家のほうへ」もあまり期待しなかったのだが、その予想は良いほうへと外れた。

まるで「コンブレー」を初めて読んだ気にさせてくれる名訳と思う。

プルーストの世界を読む (岩波セミナーブックス 92)

プルーストの世界を読む (岩波セミナーブックス 92)