2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

挿絵を楽しみながら「失われた時を求めて」を再読する

鈴木道彦訳マルセル・プルースト「失われた時を求めて」を読み終わってから2年近くになったが、なかなか、登場人物たちが忘れられない。9月17日の日記や9月24日の日記に書いたように、作品の内容が良い(演奏が素晴らしい)と、カバーデザイン(ジャ…

Over the Rainbow

id:curvatureさんの9月23日の日記http://d.hatena.ne.jp/curvature/20060923、末尾にキース・ジャレットの「Over the Rainbow 」に触れる一文があり、これは音楽に関する繊細な感性を示された美しい文章だと思ったが、音楽「Over the Rainbow」で即思い出す…

口笛を吹く寅次郎

お彼岸といえば、今日9時pmからBS2でオンエアされるフーテンの寅・第32作、「口笛を吹く寅次郎」はお彼岸に相応しい。NHK、良い趣味しているなァ。この作品、中井貴一さんと杉田かおるさんの若いカップルも良いが、寅さんと竹下景子さんのカップルもなかなか…

朝日新聞の天声人語

お彼岸の今日の朝日新聞のコラムに「ジョン・コルトレーン」のことが取り上げられていた。「至上の愛」が取り上げられているのがいかにも朝日新聞らしいと思った。ぼくなら、絶対に「ヴィレッジヴァンガード・アゲインだ。ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・…

望月市恵さんの「あとがき」

30数年前に初めて読んだ時と「ブッデンブローク家の人びと」の後書はひとつも変わっていない。そして、その後書は30数年のときを超えて、ぼくの心を強く打つた。訳者の望月市恵さんは旧制松本高校のドイツ語教授で、辻邦生さん、北杜夫さんにドイツ語を教え…

あのひと

わたしたちは、あの人この人を思い出し、その人がその後どのように暮らしているだろうかと考え、その人が歩道をもう歩いてはいないし、声がほかの人びとの声にまじって響くこともなくなり、永久に舞台から姿を消してしまい、町の門を出たどこかに埋められて…

ブッデンブローク家の人びと(23)

ブッデンブローク家の人びと 下 (岩波文庫 赤 433-3)クリスマス・イブのプレゼントの一つは人形芝居のセットだった。 ああ、プロンプターの箱もあった。貝殻のような形をしたプロンプターの箱があり、その後ろに、横幅いっぱいの緞帳が、赤色と金色をして巻…

ワーグナーの毒

ゲルダ・ブッデンブロークがピエール氏に「トリスタンとイゾルデ」のヴァイオリン演奏への編曲を依頼したことから、「トリスタンとイゾルデ」聴きっ記へと横道にズレてしまった。もともと「トリスタンとイゾルデ」はワーグナーの毒をてんこ盛りした作品だ。…

アーノンクールの「フィデリオ」

連休最終日の今日は、ウィーンつながりで、昨日の日記でもふれたアーノンクールのオペラを観た。チューリッヒ歌劇場2004年2月のライブ映像で、演目はベートーヴェンの唯一のオペラ「フィデリオ」。アーノンクールの指揮ぶりは例によって快速で、キビキビとし…

アーノンクール、この秋来ーる

ウィーン国立歌劇場といえば、この秋ニコラウス・アーノンクールがウィーン・フィルと共に来日するのだった。http://info.pia.co.jp/et/promo/classic/nikolaus_wienphil.jsp http://seeds.whitesnow.jp/blog/2005/11/2006.htmlハイドン:交響曲第101番「時計…

クリスティアン・ティーレマンの「トリスタンとイゾルデ」

前回の日記に書いた、カルロス・クライバーのウィーン国立歌劇場での演奏のライブ録音(1973年)からちょうど30年後の2003年に、同じウィーン国立歌劇場でライブ録音されたのがティーレマンのこのCD。これは昔から自分内で面白いことだと感じていたのだが、最…

追記

ノイシュさんが、リゲンツアが固辞したと教えてくださった。ノイシュさんに感謝。ノイシュさんも仰るように、ルネ・コロの歌唱とのマッチング、演奏スタイルなどを考慮すればマーガッレト・プライスがベストだったのかもしれない。ノイシュさんのワーグナー…

クライバーの「トリスタンとイゾルデ」

カルロス・クライバーは、その生涯において、ワーグナーの作品「トリスタンとイゾルデ」を1969年(39歳)のときから1982年(52歳)まで振り続け、それ以降は指揮していない。「トリスタンとイゾルデ」以外の作品は、管弦楽曲作品としても指揮していない。なぜ、…

犬の疥癬

今日の午前中の診療で、ほぼたて続けに3人の患者さんから、ペットのワンちゃんが「犬疥癬」に罹ってしまったが、私は大丈夫でしょうか?という御相談を受けた。疥癬という皮膚病はダニの一種である「ヒゼンダニ」と呼ばれるダニがヒトの皮膚に住み着いてし…

カール・ベーム

このカール・ベーム指揮のドイツグラモフォン盤こそが我が「トリスタンとイゾルデ」鑑賞遍歴の原点の録音である。この演奏を聴いて心を奪われて、さまざまな「トリスタンとイゾルデ」の録音を聴くようになった、その出発点となった録音である。ビルギット・…

カラヤン

1951年、カラヤンはバイロイトデビューした。このとき、カラヤンは「マイスタージンガー」と「指環」の2演目の指揮を行った。翌52年には「トリスタンとイゾルデ」を指揮し、51年の「マイスタージンガー」は正規録音も行われた。カラヤンのバイロイトでの演…

ボダンツキー

ゲルダ・ブッデンブロークがピエール氏にヴァイオリンとピアノのために編曲してほしいと頼んだワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」を今日、土曜の午後、聴いている。1907年にウィーン国立歌劇場の音楽監督を辞任したマーラーは翌1908年にニューヨーク…

失われた時を求めて

鈴木教授の文庫版は「ゲルマントの方」まで刊行された。失われた時を求めて〈5〉第三篇 ゲルマントの方〈1〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)作者: マルセル・プルースト,鈴木道彦出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006/08/01メディア: 文庫 クリック: 10回こ…

読書の秋

初秋を迎えた。読書の秋であるが、ぼくはトーマス・マンの「ブッデンブローク家の人びと」を8月中旬には読み終えてしまった。緑陰読書ということになる。「失われた時を求めて」、「ユリシーズ」に比べて「ブッデンブローク家の人びと」の大きな違いは何か、…

愛育病院

紀子さまが無事ご出産された愛育病院はぼくが6年間通った思い出の場所である。といっても別に愛育病院に勤務していた訳ではない。中学・高校の6年間、毎朝ぼくは愛育病院前というバス停で下車し、通学していたというだけである。愛育病院は新築成って、綺麗…

祝・紀子さま男子ご出産

母子ともにお健やか、皇室41年ぶり皇位継承第三位心からお祝いしたい。

トーマス・マンとブラームス

早稲田大学第1文学部・独文科卒のクラッシック音楽評論家・吉井亜彦さんはその著書「名盤鑑定百科 交響曲篇」のなかで、ブラームスの交響曲第三番をトーマス・マンの小説「トニオ・クレーゲル」に擬えてこう言っておられる。名盤鑑定百科 交響曲篇 (新装増…