犬の疥癬

今日の午前中の診療で、ほぼたて続けに3人の患者さんから、ペットのワンちゃんが「犬疥癬」に罹ってしまったが、私は大丈夫でしょうか?という御相談を受けた。

疥癬という皮膚病はダニの一種である「ヒゼンダニ」と呼ばれるダニがヒトの皮膚に住み着いてしまって起きる皮膚病で、けっして少ない皮膚病ではない。

疥癬」はヒトにはヒトの、犬には犬の、猫には猫の、それぞれの疥癬虫が自然界には存在していて、出現する。けっして種を超えることはない。これを「種特異性」という。

疥癬虫は犬で増えるが、ヒトでは増えることは出来ないし、ヒト疥癬虫はヒトでしか増えない。だからペットが疥癬に罹ってもペットの疥癬虫が飼い主に伝染(うつ)って飼い主で増殖することはない。

疥癬虫がたまたま飼い主の皮膚にくっついても、そこで増殖し続けることは出来ないのだ。だからダニアレルギー的な症状が出現することはあっても、犬疥癬虫がヒトに伝染し、そしてヒトからヒトへと伝染していくという心配はない。

今年は疥癬に限らず、ダニやノミ、チャドクガなど虫刺されに悩ませられる患者さんが例年よりも多いと思う。地球温暖化現象は、虫の生態系にも悪影響を与えているのだろうか。