2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

我が愛しのブラームス

文春文庫の「クラシックCDの名盤」ISBN:4166600699、「我がクラシックCD鑑賞の羅針盤」の一冊ではあるが、その内容とぼく自身の心への訴え度合いとはケース・バイ・ケースなのはこの種のお奨め本ではよくあることだろう。なかでも我が愛しのブラームスの…

ブッデンブローク家の人びと(15)

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫)「家内は贅沢に慣れていますから。」とグリュ−ンリッヒ氏は、腹立たしそうに言った。トーニはそれには一言も反対しなかった。落ち着き払って椅子の背に寄りかかり、膝の上の部屋着のビロードのかざりリボンの上…

ブッデンブローク家の人びと(14)

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫)「お前さんは子供好きではないらしいね、アントーニエ。」「子供好き…子供好き…わたし、時間がないのよ!家事で手いっぱいよ!朝がきて目がさめると、夜までにやってしまわなくっちゃならないことを二十も考える…

ブッデンブローク家の人びと(13)

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫)一月のある日の朝、雪もよいであたりが霧に包まれている朝、グリュ−ンリッヒ夫妻は、三歳になった娘と一緒に、栗色の腰板をした食堂で、一脚が25マルクの椅子にかけて、最初の朝食を食べていた。二つの窓のガラ…

ブッデンブローク家の人びと(12)

グリューンリッヒ氏はトラーヴュミュンデの海の家の医学生、モルテンの両親を訪れて「私のトーニに手を出すな!」と一喝し、トーニの持参金を手に入れるために、愛してもいないトーニと結婚しようと、そのことばかりを目論むのだった。裏帳簿まで作成して銀…

ブッデンブローク家の人びと(11)

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫)「私もあなたとまったく同じに考えます、友よ。この問題は重要な問題であって、はっきりさせておかなくてはなりません。要するに、私たち一家の若い娘の持参金は、前から現金で七万マルクということに決められて…

ブッデンブローク家の人びと(10)

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫) トーニは、はっとして、モルテンの顔をちらっと見つめ、遠い昔の夢を思い出した人間のように、目をさまよわせた。 「それ、お聞きになりたいんですの、モルテン?」とトーニは、重々しくいった。 「ではお話し…

萌えるクラシック

ゴホンといえば龍角散、御本といえばジュンク堂、ということで今日は池袋のジュンク堂に寄る。なにげに目に留まった鈴木淳史さんの「萌えるクラシック」を購入。そういえば、この秋にアーノンクールがウィーンフィルと来ーるのだったな。 http://eee.eplus.c…

ブッデンブローク家の人びと(9)

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫) 秋になって、最初の秋風が強く吹き始めた。空には灰色の薄い千切れ雲が、慌ただしく流れた。暗い海は、波が荒くなり、見渡す限り泡立っていた。大きいうねりが、おびやかすようなきびしい無関心さで近づいてき…

ブッデンブローク家の人びと(8)

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫)ブッデンブローク家が、メング通りの家に住むよになってから、六年ほど過ぎてから、アントアネット・ブッデンブローク老婦人は、ある年の一月の寒い日に、中二階の寝室で天蓋のある高いベッドに寝たきりになって…

iTalk

iTalk the iPod phone by Applehttp://www.youtube.com/watch?v=4296efmOWLs&search=italkiPodケータイ、ぼくも欲しい。アクオス携帯も欲しいけど…。

ブッデンブローク家の人びと(7)

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫)ヨハン・ブッデンブローク老人は若いころ、ブレーメンの商人の娘だった先妻を、いじらしいほど愛していたらしかった。先妻のそばで過ごした短い一年間は、最良の一年間だったらしかった。「わが生涯の最も幸福な…

ブッデンブローク家の人びと(6)

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫)それから二年半が過ぎて、四月の中旬、例年よりも早く春が訪れていたが、ヨハン・ブッデンブローク老人がほくそ笑いをし鼻歌をうたい、息子のコンズルの心も、うれしさに弾むようなことが起こった。コンズルは書…

メング通りのブッデンブローク家

あらたに購入したメング通りの大邸宅で、新居のお披露目を兼ねた晩餐会が開かれた木曜日の夜が終わろうとしているブッデンブローク家の人々にはこれからどんな運命が待っているのだろうか。老ブッデンブロークとコンズル・ブッデンブローク、コンズルの長男…

37年ぶりに再読して思うこと

今回再読して、あらためて思うことは、トーマス・マンの文章、描写の塑像力である。映像で瞬時に現出させるものを文章で作り出すことの偉大さをあらためて思い知らされた。それを自分なりに確かめたいと思い、「ブッデンブローク家の人々」を日記に書くこと…

いまなぜ、「ブッデンブローク家の人びと」なのか、ということ

ぼくが初めてトーマス・マンの「ブッデンブローク家の人びと」を読んだのは1969年の秋だった。面白くて面白くて、早く先を読みたいと思う気持ちと、読み終えたくない、いつまでもこの世界に浸っていたいという気持ちとが自分のなかで海の波のように寄せては…

ブッデンブローク家の人びと(5)

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫) 風景の間にもう一度集まった客たちが、ほとんどいっせいに帰り始めたのは、もうかなり遅くなってからであって、十一時に近いころであった。 強い風が雨を横なぐりにし、クレーガー老夫妻は厚地の毛皮の外套にく…

ブッデンブローク家の人びと(4)

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫)クリスタルの大皿二つに盛られた「プレテン・プディング」が運ばれた。マコロン、苺、ビスケット、玉子のクリームを、つぎつぎ重ね合わせたケーキであった。食卓の下方で子供たちがお気に入りのデザートケーキで…

ブッデンブローク家の人びと(3)

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫)ホフステーデ氏は、斜面机の上に飾られていたセーブル産の陶器の見事なインキ壺に感心した。黒い斑点のある猟犬を模したインキ壺であった。ドクトル・グラーボは、コンズルと同じくらいの年齢だった。薄くなった…

ブッデンブローク家の人びと(2)

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫)「ほんとうにありがとう。」とこの町の詩人、ジャン・ジャック・ホフステーデ氏は男たちと握手をし、婦人たちにーわけてもすごく尊敬しているコンズル(名誉領事)夫人にーいつもの念入りなお辞儀を二度、三度し…

ブッデンブローク家の人びと(1)

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫)みんなは、ブッデンブローク商会が、しばらく前に買い取って、家族が移り住んだばかりのメング通りの広大な古い邸宅の二階にある「風景の間」にかけていた。寒くなるのが、例年よりも早かった。窓のそと、通りの…

ななついろ☆ドロップス

ぼくは2002年2月からライコスダイアリーというところでウェッブ日記を書いてきた。翌年の8月にライコスダイアリーは楽天に吸収されてしまい、ライコスダイアリーでリンクを貼っていた人たちはいろいろなウェッブ日記へと散っていった。そんなぼくのライコス…