いまなぜ、「ブッデンブローク家の人びと」なのか、ということ

mii06252006-07-09


ぼくが初めてトーマス・マンの「ブッデンブローク家の人びと」を読んだのは1969年の秋だった。面白くて面白くて、早く先を読みたいと思う気持ちと、読み終えたくない、いつまでもこの世界に浸っていたいという気持ちとが自分のなかで海の波のように寄せては返し、思わず左手でページを押さえながら、それでも夢中で読み耽っていたのを昨日のことのように思い出す。

しばらくトーマス・マンの「ブッデンブローク家の人びと」は絶版状態だったが、2005年の夏、岩波書店から“岩波文庫/一括重版、30点35冊”中の一点三冊として重版されたのを昨年秋、購入しておいたのだった。というのも1969年の「ブッデンブローク家の人々」はさすがに紙が黄ばんできたからである。

そして今年の7月、サッカー、ワールド・カップのドイツ大会が開催されて、テレビ観戦していたのだが、次の試合を待つ間、懐かしくなり手に取ったのが再読するきっかけだった。