スワン家のほうへ(8)

「ああ、それじゃ、バルベックにお知り合いがおられるのでしょうか」と父は言った、「ちょうどこの子が、そこに祖母と二ヵ月滞在する予定なんです。もしかすると家内も参るかもしれません。」

  ルグランダンはこの質問に不意をつかれたが、父をじっと見ているときだったので目をそらすことができず、まなざしに刻一刻といっそう力をこめーそして悲しげに微笑みながらーこれは友情から出た率直な気持ちで、正面から見つめるのを恐れるわけではないと言わんばかりに、相手の目を見据えた。