二つのボエーム

のっぴきならない問題を抱えて他に何も考えられない状態に陥ってしまった。Sよ、君ならばこのことは良く解かってくれるだろう。
しかし、そうそう緊張状態を続けてばかりはいられない。

今日はコヴェントガーデン王立歌劇場で2008年に上演されたプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」の映像を観ようと思って、あらかじめYouTubeに上梓されているかと思って、久しぶりにYouTubeで「la boheme」と検索したらアズナブールの「ラ・ボエーム」で二つの素晴らしい映像に出会えたのでそのことについてはてなに記そうと思う。第一の映像はAのこちらである。



まるでジョルジュ・ブラッサイの写真集「プルースト・写真」に出てくるようなパリの映像をバックにアズナブールの「ラ・ボエーム」が流れる。2010年の現在、このような映像作品がYouTubeにアップされてくること自体、なんて粋なのだろうか。いまや忘れつつある言葉の仲間に入りそうな「粋」「シック」という言葉そのものに満ち溢れた映像だ。
けれど二番目にBを観てさらに感激したのだった。


↑この荻須高徳画伯の銅版画はぼくの携帯の待受け画面に貼り付けている。



Aが1950年代の昔懐かしいパリの映像だとすればBは2010年という現在の視点でアズナブールの「ラ・ボエーム」を活き活きと映像に捕らえている。変わるパリと変わらぬパリ。時の過ぎ行くままに「ラ・ボエーム」をフレッシュに、シックに映している。

素晴らしい秋の到来を予感させるニ作品だった。

プルースト/写真

プルースト/写真