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ジェイムズ・ジョイス「ユリシーズ」
第六章「グラスネヴィン墓地に向かって」
外風呂を浴びてサッパリとしたブルームはディグナム家からダブリン北部のグラスネヴィン墓地へと向かう葬儀の馬車に乗る。
- 街を行き交う人々
馬車の窓からダブリンの街を行き交う人々を眺めるブルーム。スティーブンに気づき、馬車に同乗しているスティーブンの父であるサイモン・ディーダラス神父にその旨を告げる。『(牡鹿の)マリガンと一緒でしたか?』と聞くサイモン・ディーダラス。スティーブンを気遣うサイモン・ディーダラスをみて、早逝した息子ルーディを想うブルーム。
そしてメル友のマーサを思い出し、今日の午後自宅にやってくるボイランのことを思っていると、驚くことか、ブルームの右側に座っているカニンガムとパワーが高級レストランから出てくるボイランと挨拶を交わしている!!!思わず自らの左手の爪をみつめるブルーム。
- いろいろな死に方
酒の飲み過ぎであっという間に突然死したディグナム。一番良い死に方ですよと言うブルーム。
なんの苦しみもなく、あっという間にすべてが終わり、寝ている間に死ぬようなものです
と付け加えるブルームに、同乗する三人は決して同意しない。なぜなら、キリスト教徒にとって最後の秘蹟を受けない死に方などは考えられないことだから…。