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楽譜に書かれている音符をいかに翻訳して音化するか、楽譜を指揮し演奏するという作業は、外国文学を翻訳する作業と、ある点、とても似ていると思う。
昔、ベートーヴェンの「田園」を聴き比べるという作業を夢中になって行ったことがある。そして最後に得た結論は、聴き比べた指揮者の演奏の、そのどれもがその指揮者の感じた各々のベートーヴェンの「田園」だった、ということだ。好き嫌いは聴き手が勝手に決めれば良い。
ぼくがプルーストの小説「失われた時を求めて」を読むようになった切っ掛けは新書の「プルーストを読む」を読んだからだ。
プルーストを読む―『失われた時を求めて』の世界 (集英社新書)
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新書を読んでそこに書いてあることを理解するということがどれほど大変なことかが良く分かった。
ワーグナーのオペラ*1「トリスタンとイゾルデ」の第一幕はアイルランドの王妃イゾルデ姫がイングランド王のもとへ嫁ぐために海を渡ってコーンウオールへ向かう船に乗船しているシーンから始まる。イゾルデ姫のバックボーンとして、ケルト Celt 、あるいはアイルランド特有のドルイド教や魔術や毒薬等、ケルトの歴史を知れば知るほど、この「トリスタンとイゾルデ」第一幕の聴き方も深まっていくだろう、と思って興味を持ったのがアイルランドであり、その首都ダブリンだ。
短編集「ダブリン市民」は学生の頃、読み飛ばした記憶があるが長編小説「ユリシーズ」は読んだことがない。「ユリシーズ」を読み、ケルト民族 the Celts に関する本を少しずつ読めばワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」への理解も深まるかも知れない。
これがジェイムズ・ジョイスの小説「ユリシーズ」を読み始める理由です。
*1:本人は楽劇 music drama と言っている。