「見出された時」の始めに

ジルベルとアルベル、ルベルの前に付くGとAの違いだけで、似ているといえば似ている、ヴェネツィアで受け取った電報は語り手の初恋の女性、ジルベルトからのものだった。
スワンの死後、オデットhttp://d.hatena.ne.jp/mii0625/20040901は昔の愛人、フォルシュヴィル伯爵と再婚していたが、ジルベルトhttp://d.hatena.ne.jp/mii0625/20040915はある大叔父の莫大な遺産を相続し、超大金持ちとなっていた。そして、ゲルマント公爵家にも出入り出来るほどになって、ついにゲルマント家の輝く星、あのロベール・ド・サン=ルーと結婚することになったのだった。
しかし、サン=ルーは実は同性愛者だった。ジルベルトはそれを知らず、夫がラシェル(自由奔放なユダヤ人女性)や他の女性達のために自分を裏切っているのだと思っている。
語り手は初恋の女性ジルベルトが住む、あのタンソンヴィルの館に滞在するのだった。
失われた時を求めて」第七篇「見出された時」は、語り手がこのタンソンヴィルの館に滞在しているところから始まる。
タンソンヴィルhttp://d.hatena.ne.jp/mii0625/20040824には夫のサン=ルーも、語り手の滞在中に時々やって来る。
ジルベルトはスワン家の方とゲルマントの方がそんなには離れていないことを説明して語り手を驚かせるのだったが、それはこの小説、プルーストの「失われた時を求めて」の骨格を示す言葉でもあるのだった。