〔なぜスワンの恋が読み難いのか?〕

工藤庸子はその著書「プルーストからコレットへーいかにして風俗小説を読むかー」中公新書1023 でこう書いている。
「…。わたしは「風俗を反映しつつ、それ自体が風俗的存在でもある文学」という観点から、作品を読み、時代のなかに位置づけたいと考えている。「失われた時を求めて」はさまざまの読み方ができる作品である。ひとりの作家が誕生するまでの文学的模索の過程を語った芸術家小説、愛と死、そしてとりわけ時間という永遠のテーマに正面からとり組んだ形而上学的小説、さらには喜びや悲しみとともに日々の平凡なドラマを生きる人々が、大勢登場する文字どおりの風俗小説。しかしこうした要素を独立した三本の柱のように別個に考察しようとすれば、それだけで、この複雑に入り組んだ作品を形骸化することになるだろう…。」
スワンの恋」は難しくはないが、日記には書きにくい。