秋の対談

maa:miiさん、こんにちは。お久しぶりです、といっても「夏コミ」以来ですから、まだ一ヶ月ちょっとですが…。
mii:あの日はお台場の花火大会があって、アクセスにものすごく時間がかかってしまって、六本木ヒルズとか、ご案内出来なくて申し訳なかったと思ってます。
maa:いえいえ、この次を期待してますから。はてなダイアリーでの「失われた時」の全訳版の読書感想日記、いかがですか?
mii:ハイ、maaさんの「わたくし日記 リミックス」はてなに登場して、とても嬉しいです。
maa:で、プルーストの『失われた時』の全訳版の感想はいかがですか?
nii:普通、僕らは砂時計を使う時、下段に落ちていった、終わった砂には注意しませんよね〜。上段に残っている砂ばっかり気にしている。
maa:そうですね〜。後どれくらい残っているか、上段ばっかり気にしている…。
mii:プルーストっていう作家は逆です。下段に落ちてきた砂ばっかり気にしている。まるで薄紫(モーヴ)色の衣擦れのするような美しい布に、落ちた砂を撒いて、拡大鏡で観ている、そんな感じです。
maa:で、下段に落ちた、零(こぼ)れた砂を使って、自分のおくってきた人生、落ちた砂、失った時はどんな時だったのかと…。
mii:そう、そうです。『砂時計の落ちた砂』の物語、だと思いました。
maa:わかりました。今日から私もmiiさんの日記を『砂時計の落ちた砂を求めて、日記』として読むようにします。
mii:ところが、人間の砂時計は底が抜けていますから、読み進むうちに、零れ落ちた砂どうしが絡みあって、美しい砂上の楼閣を形作っていく…、その辺に醍醐味を感じます。今日はお忙しいところをどうも有難うございました。
maa:あ、そうそう、昨日の日記でスワンの恋や、語り手とジルベルトとの恋は書き難いと言ってらしたですが…。
mii:あ、それは“恋物語”を日記に書くことの“照れ”です。
maa:おお、そういうことですか、わかりました。ではでは。
(渋谷“セルリアン東急”3階『金田中』にて9月20日午後4時収録)