バイエルンのドン・ジョヴァンニ

mii06252007-02-12

1月25日に刊行された「パウル・クレー 絵画のたくらみ」を読む。




巻頭に作家、いしいしんじ氏の「オルフェウスの庭で」と題するエッセーがあり、
一読、あ、こんな感じ方もあるんだなー、と唸ってしまった。





いしいさんはこう書いておられる。





それは、クレーの絵「オルフェウスの庭」が音楽で、私のからだにそのこだまが、えんえん鳴り響いていたためである。「音楽を見る」こと、「絵に耳をすませる」こと。パウル・クレーは芸術家として、そのことをはじめから終わりまで目ざしていたように思うが、「オルフェウスの庭」は、その目的の、もっとも純度の高い達成だという気がする。

パウル・クレーはもともとヴァイオリニストになろうか、画家になろうかと悩んだくらいの人だから、その絵画作品に音楽が色濃く漂うのも当然なのだろう。

クレー自身もこう書いている。

ドン・ジュアンの五重奏は、トリスタンの叙事詩的な動きにもまして、私たちの心に迫る。モーツァルトとバッハは、19世紀の音楽にもまして現代に近い。(1917年7月の「クレーの日記」より)


ぼくは「バイエルンドン・ジョヴァンニ」を観ると、条件反射てきに、モーツアルトクラリネット五重奏曲を聴きたくなる。



パウル・クレー 絵画のたくらみ (とんぼの本)

パウル・クレー 絵画のたくらみ (とんぼの本)