• 梅毒

意欲に(1492年)満ちた、コロンブスによるアメリカ大陸発見は、西インド諸島の風土病だった「梅毒」をヨーロッパ大陸に拡めることになった。

「梅毒」が皮膚科と縁が深いのは、性病 STD 「梅毒」がさまざまな皮膚症状を呈するからである。

王様も文豪もみな苦しんだ性病の世界史

王様も文豪もみな苦しんだ性病の世界史

そしてまた「梅毒」を細胞内寄生性病原体の感染のヒストリーとして捉えると、その多彩な症状もクッキリとその姿を現してくる。

梅毒菌(トレポネーマ)が体に侵入し、橋頭堡を築く。すると抗体が作られるので、逃げる梅毒菌(トレポネーマ)。追う抗体。抗体が出来すぎると(抗体過剰状態)、体に発疹ができる(バラ疹)。さらに隠れて逃げる梅毒菌(トレポネーマ)の最後の安住の地は脳ー血管関門(blood-brain barrier)で守られた脳・神経系だ。ここに逃げ込めれば、あの恐い抗体もぼくら(梅毒トレポネーマ)をやっつけに来ることはできない(脳梅毒)。

なぜいま梅毒か?

ジェイムズ・ジョイスの小説、「ユリシーズ」で、“牡鹿の”マリガンがディーダラスをからかうG.P.I.とは「脳梅(のうばい)」のことだからだった。

↓あのシューベルトの命を奪った梅毒菌。

Schubert: Symphonies 3 & 8

Schubert: Symphonies 3 & 8

↑「梅毒性脱毛」で悩むシューベルト