僕の兄は一橋大学を卒業し政界に入った。名前を聞けば誰でも知っている。弟は東京大学を卒業し、あるテレビ局に勤務している。やはり名前を聞けば誰でも知っている。
で、僕は?無名である。名前がないのだ。番号で呼ばれている。
2歳年長の兄の名は英雄といい、3歳ほど年下の弟は大吾という。
「英雄」と「大吾」に挟まれたぼくは「第四」。
おもしろくない? …、すまん。はい、僕には兄も弟もいません。
友が皆、われより偉く見える日に聴く曲として、ベートーヴェンの「第四」が相応しいと思う。あまりにも立派すぎる「英雄」と「運命」の狭間に浮かぶ「第四」にはシューマンhttp://d.hatena.ne.jp/mii0625/20040623が言うように「二人の巨人(第三と第五)に挟まれたギリシャ神話の乙女」とみるか、「運命」の作曲中に生まれた同時期の作品と考えるかで、そのアプローチの仕方が180度異なる、と中野雄さんは「クラシックCDの名盤」文春文庫069で語っておられる。
我が愛聴盤はクレンペラー/バイエルンのライブ盤。馥郁たる香りに満ちた永遠の名演の記録だとぼくは思う。

ベートーヴェン:交響曲第4番、第5番

ベートーヴェン:交響曲第4番、第5番