アルベルチーヌへの疑惑-3

医者のコタールの指摘によって、目覚めさせられたアルベルチーヌへの疑惑は時間が経てば経つほど、語り手を悩ますのだった。
そういえば、今しがた語り手はアンドレが、彼女に特有の愛らしい身振りで、甘えるようにその頭をアルベルチーヌの肩にのせ、なかば目を閉じながら首に接吻(キス)するのを見てしまったし、あるいは彼女たちが互いに目配せをし合ったり、二人だけで海水浴に行ったりする、こんな些細なことまでが、語り手の心に、激しい苦痛を生み出すのだった。
アルベルチーヌは同性愛者(レズビアンゴモラの住人)なのではないか?
そして語り手は、もしもアルベルチーヌを愛するようになったとしたら、実にさまざまな苦悩が語り手を待ち受けているのではないだろうか、と想うのだった。