「花咲く乙女たちのかげに」の終わり

アルベルチーヌ・シモネに抱擁(ほうよう)と接吻(キス)を拒絶されてしまった語り手だったが、一週間後にバルベックの海岸へ戻ってきたアルベルチーヌは語り手にこう言うのだった。
『許してあげるわ。あなたを苦しめたので自分でも後悔しているくらいよ。でも、もうあんなこと絶対にしないでね。』
そして海辺を行く美少女たちと語り手の曖昧な関係は続くのだったが、やがてバルベックに雨が降る季節がやってくるとアルベルチーヌは真っ先に発ってしまうのだった。そして避暑客たちも少しづついなくなり、バルベックの海のグランド・ホテルはいつしか閑散としてしまう。
こうして『失われた時を求めて』第二篇『花咲く乙女たちのかげに』は、夏の終わりの寂しさを湛えながら終わる。
次回からはこの感想日記も第三篇『ゲルマントの方』へと移ります。