三本の木と夢の風景

この断章、『三本の木と夢の風景』は極めて短い、文庫本(集英社)で六ページ弱である。しかし、内容は深い。ノルマンディーの海の避暑地、バルベックの「グランドホテル」に到着した祖母と語り手は、ゲルマント公爵家の一族の、ヴィルパリジ侯爵夫人と『まぁ、おひさしぶり』と出会うのだったが、祖母と侯爵夫人は小・中・高のクラスメートだったからなのだった。そして侯爵夫人と祖母と語り手は三人でバルベックの郊外を散策するのだが、そこで語り手は、行く道の先に『三本の木』を認めて、あの、コンブレーに戻る帰り道でマルタンヴィルの鐘塔http://d.hatena.ne.jp/mii0625/20040828を眺めた時と同じような経験をするのだった。
これはバルベックでこれから出会う三人の人物との事を表象したのではないだろうか?
美貌の貴公子サン=ルー、上流社交界の「プリンス」でサン=ルーの伯父のシャルリュス男爵、そして語り手の運命の女(ファム・ファタール)となる“花咲く乙女たち”のひとり、アルベルチーヌ・シモネ。
この三人を三本の木に擬したのではないだろうか?
それにしてもサン=ルーのルーつながりで思い出してしまった、
ルー・大柴さんは元気かな?