暁を彩る牛乳売りの娘

その夏をブルターニュのバルベックの海岸で過ごすべく、語り手は祖母とともに1時22分パリ発の汽車に乗るのだったが、汽車は明け方、朝靄のなかをある村の小駅に停まるのだった。すると、停車中の汽車に向かって、大柄の、頬をバラ色に染めた美少女が、“カフェ・オ・レ”を売りに来るのだったが、その美少女を見た瞬間、語り手は美と幸福を感じて、『生きていたい!』と強く思うのだった。
“生きる歓び”と“恋の予感”かァ。
好調な夏の日々を送る予感を感じさせる語り手だ、と想った。