2004-09-24から1日間の記事一覧

暁を彩る牛乳売りの娘

その夏をブルターニュのバルベックの海岸で過ごすべく、語り手は祖母とともに1時22分パリ発の汽車に乗るのだったが、汽車は明け方、朝靄のなかをある村の小駅に停まるのだった。すると、停車中の汽車に向かって、大柄の、頬をバラ色に染めた美少女が、“カフ…

土地の名・土地

プルーストの小説「失われた時を求めて」第二篇「花咲く乙女たちのかげに」第一部「スワン夫人をめぐって」に続いて第二部「土地の名・土地」はこう始まる。 『二年たって祖母といっしょにバルベックに出発したとき、私はもうジルベルトに対してほぼ完全な無…

鈴木道彦教授の全訳版の帯にはこうある わたしは海の鼓動を聴いていた そして、アルベルチーヌに出会った

花咲く乙女たちのかげに

語り手がジルベルトのGのサインを『これではまるでAではないか、アルベルト…』とつぶやいたアルベルトとは、この『花咲く乙女たちのかげに』の後半、『土地の名=土地』の舞台となる、バルベックの海岸で、運命の出逢いをする女性、アルベルチーヌ・シモネを…