恋の終わり

恋の終わりにはどういう終わり方があるのだろうか?
自然消滅か、一方通行か?あれほど好きだった曲なのに、『ねえ、この曲いいわよ!』という甘いささやきでふと耳にした曲に、すっかり心を奪われて、かつてはあれほど毎日聴いていた曲も、いつしか遠い思い出、過ぎ去った時の彼方へと埋もれてしまう、そう、一度好きになった女性を嫌いになるっていうことはない、ただ忘れていくだけである。あれほど好きで毎日毎日聴いていた曲も、もう今ではめったに聴かなくなったように…。
問題は、相手が別の曲を聴きたいというのに、私は相手に聴かれたい、という時である。
ジルベルトは語り手が鬱陶しくなったのに、語り手はジルベルトへの想いが醒めない。そう、語り手は自分への想いが醒めていくジルベルトに、うじうじ、うじうじ、未練がましく、あれこれ、あれこれ、語るのだった。