マルタンヴィルの鐘塔

「私たちはそれからまた先に道を続けた。すでにマルタンヴィルを離れてから少したって、しばし私たちについてきた村も見えなくなったとき、地平線にぽつんと残って、逃げてゆく私たちのことを眺めながら、マルタンヴィルの二つの鐘塔とヴィユヴィックの鐘塔は、まだ別れのしるしに、夕陽に照らされたその頂をゆすっていた。ときには一本の鐘塔が姿を消して、残りの二本にまだわずかのあいだ私たちを眺めさせていることもあったが、やがて道が方向を変えると、鐘塔はまるで三本の金の軸のように光のなかで旋回して、私の目から消え去った。しかし少したつと、私たちがもうコンブレーに近づき、太陽も今は沈んでしまったあとだったが、私は今一度だけ非常に遠くから三本の鐘塔を認めた。それはもう野原の低い線の上空に描かれた三つの花のようなものにすぎなかった。それはまた私に伝説の三人の少女のこと、すでにとっぷり暮れた無人の場所に捨てられた彼女らのことを思わせた。私たちがギャロップで遠ざかってゆくあいだに、私はそれらがおずおずと道を探しているのを見た。そしてその上品なシルエットは不器用に何度かよろめいてから、たがいに身を寄せあい、他のもののうしろに滑りこみ、まだバラ色をした空に、黒く、美しく、またあきらめきったただ一つの形になり、ついで夜のなかに消えていった。」