RE:究極の不倫

『どこがどう、究極なのか解りません。教えてください。』とのメモをいただいた。
そう、自分の弟子(フォン・ビューロー)の奥さんで、親友(フランツ・リスト)の娘でもある女性と出来ちゃって子供まで生まれちゃった、だから究極、というわけではありません。
弟子は奥さんがワーグナーと出来ちゃっても、ワーグナーを尊敬し続けて傍を離れなかったし、その奥さんのリストの娘コジマは、晴れて正式にコジマ・ワーグナーとなり、ワーグナー自ら「ジークフリート」と名付けた息子を授けてくれた。そして、コジマ・ワーグナーの孫たちは第二次世界大戦後のバイロイト祝祭歌劇場を再度、隆盛へと導く。
俗に不倫と呼ばれ、世間から騒がれてもコジマ・ワーグナーのように愛と信念をもってその生を生きれば、いつしか誰からも後ろ指を指されることはなくなる、という点が僕の想うワーグナーの「究極の不倫」です。