2004-08-28から1日間の記事一覧

マルタンヴィルの鐘塔

「頭を野原から高く出し、たんなる平野に迷い込んだように、空に向かってマルタンヴィルの二つの鐘塔がそびえていた。やがてそれが三つになるのをわたしたちは見た。というのはマルタンヴィルの二つの鐘塔の正面に、大胆に身をひるがえしつつ、おくれてきた…

憧れのゲルマント公爵夫人

そして語り手がタピスリや幻燈やステンドグラスなどから想像するゲルマント公爵夫人は、貴婦人中の貴婦人だったが、実際に見るゲルマント公爵夫人は決して想像の世界を超えるものではなかったことに語り手は複雑な思いを抱くのだった。 語り手の想像の世界で…

コンブレー

語り手が小さい頃の長い休暇を過ごすコンブレーの家は一方は『スワン家の方(ほう)へ』と向かう散歩道であり、もう一方は『ゲルマントの方(ほう)』と呼ばれていて、あの、遠くメロヴィング王朝時代(5〜8世紀)にまで遡る貴族中の貴族、ゲルマント公爵…