世界の中心で愛を叫ぶ
NHK教育テレビ3で放映された「知る楽・選」“人物伝・森有正”という番組を見た。
内容は小説「世界の中心で愛を叫ぶ」を書いた作家の片山恭一さんが、自らの書斎で、哲学者森有正さんについて語ったもので、うん、うん、現在(いま)の人には森さんはこういう風に受けとめられているのだな、と思わせるものだったが、この番組を見終わったぼく自身の感想を一つだけ。
森さんは「バビロンの流れのほとりにて」から「流れのほとりにて」、そして「砂漠に向かって」と続く著作の続刊として、筑摩書房から「荒野に水湧きて」という表題で、新作を出版される予定だった。冬の新聞の朝刊第一面の最下段にときどき広告が掲載されていて、ぼくはその出版を心待ちにしていたのだったが、その年の夏、アンギャン湖畔で病魔に襲われた森さんはついに帰らぬ人となってしまった。
今日の番組を見て、片山さんの語りを聞いていて、森さんが最後の著作の表題に「荒野に水湧きて」という言葉を予定されていたということをなぜか強く思い出したので日記に書いておくことにした。
- 作者: 森有正,二宮正之
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1999/06
- メディア: 文庫
- 購入: 24人 クリック: 136回
- この商品を含むブログ (24件) を見る