プルースト・印象と隠喩
保苅瑞穂著『プルースト・印象と隠喩』を読む。
久々にじっくりと読ませる名著に出会えて心が和む。
前半はプルーストがフェルメールと同様に愛したもう一人の画家、シャルダンに関して。
後半は『「印象」から隠喩表現へ』と題して、プルースト論が展開されている。
夕方、家のまえの大きなマロニエの樹の下で、鉄製のテーブルを囲んでわたしたちが坐っていると、庭のはずれで、来客用の小さな鈴の二度ずつ鳴る、おずおずした楕円形の、金色の響きが聞こえた。すると皆はすぐさま「誰か来たようだ、いったい誰かしら」と思うのだったが、しかしそれがスワンにほかならぬことを誰もがよく承知していた。
プルースト以外のいったい誰が、庭の小さな鈴の音の響きをおずおずした楕円形の、金色のと表現できるだろうか…。
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