レミッチ・カプセル

ランナーズハイに関与するとされているβエンドルフィンは内因性オピオイド(脳内モルヒネ)といわれているが、このβエンドルフィンは「皮膚の痒み」を引き起こすことがある。

内因性オピオイドのβエンドルフィンがμ受容体を活性化させて、痒みを発現させるのだ。

このμ受容体の活性化は、相反する働きをすることが多いκ受容体を活性化させてダイノルフィンを産生させることによって防ぐことが出来る。

東レは、κ受容体を活性化することによってβエンドルフィンの「皮膚の痒み」を引き起こすことを抑制する薬「レミッチカプセル」の日本独自の開発に成功し、鳥居薬品、日本たばこと共同で製造・販売を開始した。

これは今までの「皮膚の痒み」を緩和するいわゆる「痒み止め」の飲み薬が、マスト細胞から放出されるヒスタミンに拮抗することがターゲットだったのに対して、βエンドルフィンに拮抗しようとして開発されたというころがとてもユニークで素晴らしい。

2009年4月現在では血液透析中の他剤無効の症例に限って投与とのことだが、抗ヒスタミン剤が効かない「皮膚そう痒症」で悩んでおられる多数の方々に処方出来るようになると良いと思う。