緑陰読書

映画「スワンの恋」を観た後、今日の午後、マルセル・プルーストの小説「スワンの恋」を読み返した。オデットがスワンに「わたしをバイロイトに連れって」とおねだりをした(結局スワンはオデットとバイロイト音楽祭には行かなかったのだが)バイロイト音楽祭では「トリスタンとイゾルデ」は上演されていたのだろうか。

そしてぼくは「スワンの恋」を読むと、どうしてもワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」を聴きたくなるのだった。

われらの大植英次さんがバイロイトで「トリスタンとイゾルデ」を指揮してからちょうど3年目の夏を迎えた。ぼくはこの時、ライブで大植さんの「トリスタン」を朝の5時過ぎまで聴いたのだったが、終わった後、異常な感動に心が震えてしかたがなかった。あとで、このときの演奏の録音CDをネットの畏友ぱきゅんさんにいただいたのだが、もう数年たったら聴き返そうと思っている。ライブで聴いた時の印象が時の経過とともに薄らいできたら、聴いてみようと思って、其れまで大事に取ってある。

トリスタンとイゾルデ」は、第一幕では愛憎を、第二幕だは愛欲を、そして第三幕では情念を語って止まないと、自分的には思っているのだが、マルセル・プルーストの小説「スワンの恋」も恋愛の諸相としての愛憎と愛欲とそして情念を語って止まないと思っている。

ワーグナーのオペラ「トリスタンとイゾルデ」は悲劇で終わるが、プルーストの「スワンの恋」は悲劇では終わらない。二人は結婚し、ジルベルトという一人娘が誕生するのだ。そしてジルベルトに語り手は生まれて初めて恋をする。

今日読み返した「スワンの恋」は鈴木教授の抄訳本だ。明日はグローブ・プランドルの「トリスタンとイゾルデ」を聴いてみようと思っている。

失われた時を求めて 1 抄訳版 (集英社文庫)

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