「花咲く乙女たちかげに」

mii06252008-03-15


リンク先のid:tougyouさんの日記http://d.hatena.ne.jp/tougyou/20050813で初めてその存在を知った、ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画「失われた時を求めて」は、マルセル・プルーストの小説「失われた時を求めて」第二篇「花咲く乙女たちのかげに」の前半2/3くらいのところ、第二部の「土地の名・土地」で祖母と一緒に語り手がバルベックの海へと向かうシーンから始まる。

初めて読んだ時も、今回の再読でも、マルセル・プルーストの小説「失われた時を求めて」は、この明け方のバルベックの海へと向かう汽車の旅から動き出すのだと思った。

その夏をブルターニュのバルベックの海岸で過ごすべく、語り手は祖母とともに1時22分パリ発の汽車に乗るのだったが、汽車は明け方、朝靄のなかをある村の小駅に停まるのだった。すると、停車中の汽車に向かって、大柄の、頬をバラ色に染めた美少女が、“カフェ・オ・レ”を売りに来るのだったが、その美少女を見た瞬間、語り手は美と幸福を感じて、『生きていたい!』と強く思うのだった。