「スワン家の方へ」

mii06252008-02-17

 私たちがかつて知った場所、それを私たちは便宜的に空間世界に位置づけているが、そのような場所は、実は空間世界に属しているだけではない。それらの場所は、当時の私たちの生命を形作るたがいに隣りあった印象のなかの、薄い一片にすぎないのだった。あるイメージの追憶とは、ある瞬間を惜しむ心にすぎない。そして家や、道や、通りは、逃れて消えてしまうのだ。ああ!、ちょうど歳月のように。

 以上で、マルセル・プルーストの小説、「失われた時を求めて」第一篇「スワン家の方へ」、読了です。