ペコちゃん

ペコちゃんで親しまれている不二家が消費期限切れ牛乳使用のシュークリームを出荷していた問題で揺れている。
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200701110048.html

不二家にしろ、狂牛病問題で揺れた吉野家にしろ、こういうニュ−スはいちばん困るのだ、プルースト愛読者にとっては。

なにが困るって?

プルーストの小説「失われた時を求めて」は長編だが、その第一篇は「スワン家の方へ」という題名である。これは“スワンやのかたえ”と読むのではなくて“スワンけのホウえ”と読むのだが、不二家とか騒がれるとついつい“スワンや”と読みたくなってしまうのだ。

だいたい“〜家”を“〜や”と読むのか、“〜け“と読むのかは、日本人ではまず問題ないだろう。しかし日本語を学習している外国人にはどう、教えているのだろうか?

明石家の墓、吉野家の墓、なんて教えるのに困ることはないのかな。

「きょうは吉野さんの家に行って、牛丼をご馳走になりました。吉野君のお母さんの手作りの牛丼(=吉野家の牛丼)はふだん食べている吉野家の牛丼よりもずーっと美味しかったで〜す。」

う〜ん、日本語って難しい。

二十一世紀中に、「失われた時を求めて」が翻訳し直されるとすれば、「スワン家の方へ」はきっと「スワンの家のほうへ」と訳されるだろうと思った。


失われた時を求めて 1 第一篇 スワン家の方へ 1 (集英社文庫)

失われた時を求めて 1 第一篇 スワン家の方へ 1 (集英社文庫)