患者満足度を高めるアトピー性皮膚炎治療のポイント」と題する九州大学皮膚科、古江増隆教授の論文を読む。
古江先生は東大皮膚科医局長をなさっておられたころ、ぼくも慈恵医大皮膚科の医局長をしており、なにかとご指導を賜った、たいへんに優秀なドクターだが、今日読んだ論文もとても簡潔明瞭で鋭い指摘があり、感銘を受けたので、覚書的に日記に書いておくことにした。

  • アトピー性皮膚炎患者さんの満足度を高める治療を行う

 患者さんの満足度を高める治療を行うためには、まず患者さんがどのような希望を持っているのかを確認するのが非常に重要である。ステロイド外用剤に対する不信感を持っている患者さんは少なくないことに留意して、患者さんの希望に沿って治療を行わなければ、患者さんの満足度は決して向上しない。

  • 保湿剤の使用方法

 ステロイド外用薬と保湿剤の併用療法には、両剤を交互に投与する隔日投与法、週の前半はステロイド外用薬、後半は保湿剤を塗布する4投3休法などがある。

 保湿剤は乾燥している皮膚に塗っても効果が不十分となるため、皮膚が湿っているとき、例えば入浴後5分以内に塗り、皮膚の水分を保湿剤で封じ込めるようにする。

 夜間の掻破行動を抑制して症状の憎悪を防ぐことができるため、ステロイド外用薬使用量の減量が期待できる。