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ジェイムズ・ジョイス「ユリシーズ」
第十八章 「ペネロペイア」
トロイの木馬の勇者ユリシーズは十数年かけて愛妻ペネロペイアのもとへ帰り着くが、1904年のユリシーズ(ミスター・ブルームのこと)は6月16日の深夜に息子テレマコス(スティーブン・ディーダラスのこと)とともに愛妻ペネロペイアのもとへ帰り着く。
ペネロペイア(愛妻モリー)の下半身に、それこそ胎児の姿勢で眠り込むユリシーズ(ブルーム)。
ブルームの深夜の帰宅で眠りから目覚めさせられてしまった1904年のペネロペイアは、これまでの自分を思い浮かべる。
第十八章はこう始まる。
Yesだって先にはぜったいしなかったことよ朝の食じを卵を2つつけてベッドの中で食べたいというなんて
- ジブラルタルのこと
ジブラルタルで生まれ育ったイギリス軍少佐の娘モリー。マルヴィー中尉との思い出のハンカチ、貰った指輪。
- ボイランのこと
彼はきょうのわたしに満足したかしら…、とボイランのことを思うモリー。
- ブルームのこと
ホース岬でのブルームの求愛と重なるジブラルタルで過ごした少女の頃。
そして第十八章はこう終わる
それからジブラルタル娘のころあたしはあのまちで山にさく花yesあたしがばらの花を髪にさすとアンダルシアの娘たちがよくやるようにそれとも赤いのつけましょうかyesそして彼がムーア人の城へきの下であたしにキスしたし方そしてあたしはもうひとりと同じほど彼のことも好きだと思ったそしてわたしは目でうながしたもういちどおっしゃってyesすると彼はあたしにねえどうなのと聞いたyes山に咲くぼくの花yesと言っておくれとそしてあたしはまず彼をだきしめyesそして彼を引きよせ彼がわたしの乳ぶさにすっかりふれることができるように匂やかにyes彼の心ぞうはたか鳴っていてそしてyesとあたしは言ったyesいいことよ。
以上でジェイムズ・ジョイスの小説「ユリシーズ」、読了です。