先日の日記http://d.hatena.ne.jp/mii0625/20051103に書いたボダンツキーArtur Bodanzky の指揮する「トリスタンとイゾルデ」に聴き入る日々が続いている。

ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ
ラウリッツ・メルヒオール(トリスタン)
キルステン・フラグスタート(イゾルデ)
フリードリヒ・ショル(クルヴェナール)
カリン・ブランツェル(ブランゲーネ)
ルートヴィヒ・ホフマン(マルケ王)
アルトゥール・ボダンツキー指揮
メトロポリタン歌劇場o.&cho.
 録音:1935年3月9日。

かつてプライヴェートLPが一度出ただけで、実質これが初発売となる珍しい音源。
 ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」には多数録音があるが、キャストの強力なことではこれ以上のものはまずないだろう。メルヒオールに、まだメトにデビューしたてでセンセーションを巻き起こしていた頃のフラグスタート、そしてウィーン仕込みの名指揮者ボダンツキー。彼らの「トリスタン」には1937年のライヴもあるが、この演奏では、一世を風靡したワーグナーバリトン、ショルのクルヴェナールというオマケが付く。
 West Hill Radio Archiveというところの秘蔵音源を初CD化。
音はさすがに年代ががっているが、偉大な歌は悪条件を突き破る。

以上はCDショップ「カデンツァ」http://www.webserve.ne.jp/cadenza/label/top.aspにあるWHRA-6001の紹介文だが、CD の ジャケットには FIRST TIME ON CD! DIGITALLY REMASTERED IN 2003 と記されている。ということは1935年のこの演奏が広く聴かれるようになったのは実に演奏の録音後約70年経ってからということになる。これも凄いことだが、その演奏たるや、なおさら凄いのだから、ただただ驚きだ。
そして、ぼくのリンク先のオペラックhttp://www.operac.com/chumon/torichu2.htmでは

陰影に富んだ深みのある演奏で、メトの黄金期を十全に発揮したこの録音の初CD 化はファン待望の必須アイテムです。

と紹介されている。

ぼくはバレンボイムの映像を切っ掛けにワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」に魅かれるようになり、理想の音源を求めて約30種近く「トリスタンとイゾルデ」の音源、映像、舞台を観てきたが、求めて約15年後に初めて、ついに思い描いていた理想の演奏に出会えたと思う。しばらくはこの1935年のボダンツキーの「トリスタン」から離れられないだろう。