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フジテレビで3夜連続特別ドラマ「女の一代記」シリーズ①「瀬戸内寂聴〜出家とは生きながら死ぬこと 夫と娘を捨て走った恋 妻子ある小説家との恋 私の情熱はすべてを破壊した…修羅の半生」を観た。それにしても妻から、「好きな男性が出来た」と告白されたときの夫の怒りのなんと凄まじかったことか。
愛する妻モリーの情事のあと、午後4時過ぎてからのミスター・ブルームの苦悩はいかばかりのものだったのだろうか。そして、ついに深夜、ミスター・ブルームは愛妻モリーの待つ我が家へと帰還する。*1
- 作者: 瀬戸内寂聴
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/03/01
- メディア: 文庫
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第十七章 「ふたたびブルームの家で」
ディーダラスと一緒に我が家へと戻るブルーム。鍵を忘れたために柵を乗り越えて半地下エリアへ降り、台所から入る。
ココアを作り、ディーダラスとココアを飲むブルーム。
お泊りを薦めるブルームの申し出を断り、ディーダラスとブルームは庭に出て星空を眺め、ブルームの家に明かりが灯っているのを見てから、二人は彗星を観察し、ススティーブンは去る。
屋内に戻ったブルームは今日一日の収支決算を心の中で纏め、寝巻きに着替え、新しいシーツの上にモリーとボイランの情事の痕跡を感じながらモリーの下半身にキスし、目覚めたモリーにスティーブンについて語り、眠りにつく。
第十七章はこう終わる。
いつ?
暗い寝床へ行く道すがら船乗りシンドバットのロック島の海雀の四角い丸い卵一つ白昼男ダーキンバットのあらゆるロック島の鳥たちの海雀たちの寝床の夜のなかに。
どこへ?
・
そう、小説「ユリシーズ」第十七章は「・」で終わるのだった。
*1:写真はジェイムズ・ジョイスの生家