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ジェイムズ・ジョイス「ユリシーズ」
第十二章 「キアナンの酒場にて」
愛する妻が自分以外の男と性行為をしているだろうと推測している男が冷静でいることが出来るだろうか?
もちろん妻への愛情が完全に失われているとすれば冷静でいられるし、無関心でいることが出来るだろう。他の男性との妻の性行為を想像することは、妻を愛しているか否かの試金石となる。
午後4時過ぎて、言葉が飛び交う「ユリシーズ」第十二章。
ブルームはキアナンの酒場に呼び入れられる。
「スローアウェイ」http://d.hatena.ne.jp/mii0625/20050618がアスコット競馬で一着となり、万馬券を取ったと思われるブルーム。
ニ十世紀前半の反ユダヤ思想のとばっちりを目一杯受ける。
愛する妻モリーの性行為に関して直接あれこれと語ることは無いが、キアナンの酒場で「市民」からの迫害を受けるユダヤ系アイルランド人としてのブルーム。
ビスケットの空き缶を投げつけられて、疎外感。