結局、大植英次さんのバイロイトデビュー、「トリスタンとイゾルデ」は7月26日の早朝、4時55分に終わった。

オペラの場合、何を見に行こうか、という時に、指揮者で選ぶ人は、少数派(スペシャルな指揮者なら話は別)で、やはり歌手で選ぶ、もしくは演出の奇抜さで選ぶのではないかな、とも思うので、大植氏の指揮だけで、今回の「トリスタン」の評価にはつながらない気もするのですが。オペラ初心者で、生意気意見ですが。

とのメールをいただいたので、オペラを見る、のではなくオペラを聴く、ということについて。

ぼくがオペラの全曲盤を楽しむきっかけとなったのはマリア・カラスの映像を観たからだった。れいのカラスの「パリ・デビュー」の映像である。

「歌に生き、恋に生き」(パリ・デビュー) (la callas... toujours Paris 1958)  [DVD]

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このカラスの「トスカ第二幕」の舞台映像に非常な感銘を受けたぼくは、さっそくオペラ「トスカ」の舞台を観たいと思った。で、いろいろな映像を観た。でも、どうもしっくり来ない。そこで、カラスのジョルジュ・プレトール盤を聴いてみた。良かった。
Tosca

Tosca

さらにデ・サバータ盤が素晴らしいとの世評から、デ・サバータ盤を聴いた。
これに打ちのめされた。
同じトスカでも、同じ歌手でも指揮者によってこれほど違うのか、ただただ驚きだった。カラス/デ・サーバタ盤を飽きるほど聴いたが飽きなかった。オペラを聴くということは指揮者を聴くということだと思うようになった。
Tosca-Comp Opera

Tosca-Comp Opera

もちろん、オペラは舞台芸術だということは承知したうえでのことである。
オペラは歌手で観る、歌手と演出と指揮者で観る、そういう当たり前のことを無視しているわけではない。

7月25日の深夜、インターネットラジオバイロイト祝祭歌劇場からのライブ放送http://www.operacast.com/bayreuth05.htmによる大植英次さんの指揮する「トリスタンとイゾルデ」を聴いた。
素晴らしかった。
やはり、オペラは指揮者だ、と思った。