mii06252005-06-08


第四章「ブルーム家の朝」

 ディーダラスが髭を剃る“牡鹿の”マリガンに陽気に揶揄されている丁度その頃、レオポルド・ブルームは、まだベッドに横になっている妻モリーに気遣って、静かに部屋のドアを閉め、朝食に好物の豚の腎臓を食べるためドルゴッシュ豚肉店に腎臓を買いに出かける。部屋の鍵は、いつものズボンに入れたまま、そして“お守りの”ジャガイモはいま着ている喪服の上着のポケットに入れてあることを確かめて。

  • 朝食

ブルームが愛妻モリーのために用意したのは、トースト4枚、砂糖、紅茶、クリーム。自分は半地下のキッチンで買ってきたばかりの豚の腎臓を焼く。

  • 手紙

手紙は愛妻モリーに二通。一通は娘のミリーからのもので、もう一通はボイランから。愛妻モリーに『手紙は誰から?』と訊ねるブルーム。『ボイランからよ。今日の午後4時、プログラムを持って来るって。』

  • 教会の鐘の音(ね)

トイレで朝の用を足しているブルームの耳に響く教会の鐘の音。まるで、今日、葬儀に行く予定の、亡くなったディグナムのための弔鐘のようだ。かわいそうなディグナム!