コンブレーを読んで、そしてスワンの恋を読んでいると、どうしても自分の初めての恋を思い出してしまう。今度もそうだった。

初恋/出会い篇

yと出会ったのは渋谷区代々木に在る「代々木ゼミナール」の春期講習でだった。

実はぼくは春期講習が始まるその前の日にyを見ている。

代々木駅の向かい側のホームで白いレインコートを着た女の子が友達二人と電車を待っていた。ぼくはその女の子のあまりの美しさに惹かれて思わず駅のホームから数歩ほど前のめりに歩んでしまって線路に落ちそうになってしまったくらいだ。

家に帰っても、その駅の向かい側のホームで見た女の子のことが頭から離れず、ずーっとボーっとしていた。

そして翌朝代ゼミに行ってみれば、なんとその女の子がぼくの真後ろの席に彼女の友人二人と着席していたのだった。

最初に声をかけたときは何と言ったのか、もう覚えていない。

最初のデートはボーリング場だった。yとyの友達二人と、そしてぼくと四人でボーリングに行った。スコアがどうだったか、どんな話をしたか、どこで何を食べたのか、もう今ではまったく覚えていない。

そしてそれは三月下旬のことだった。