ベルゴット

かなり健康状態が悪化しているにもかかわらず、フランスの小説家、ベルゴットはパリのジュ・ド・ポーム美術館に「オランダ派絵画展」を観にいった。
その絵画展で、フランスの小説家、ベルゴットはオランダの画家、フェルメールの「デルフトの眺望」にいたく感動するのだった。なお、その絵画展には他にもう二点、フェルメールの絵が出展されていた、「真珠の耳飾の少女」と「牛乳を注ぐ女」の二点である。
そしてフランスの小説家、ベルゴットはオランダの画家、フェルメールの「デルフトの眺望」を鑑賞しているうちに気分が悪くなり、床に倒れ、『黄色い小さな壁面、黄色い小さな壁面』と呟きながら、死んでいくのだった。
フェルメール(1632-1675)の死後200年以上もその輝きを失わない芸術作品と、その絵を鑑賞しながら亡くなる作家を描くことによって、浮き上がってくる、真の芸術作品の持つ永遠性。
もちろんベルゴットはプルーストが創造した想像上の作家である。