海辺を行く美少女たち-2

それ自体が光を放ちながら空をゆく一個の彗星(すいせい)のように一団となって堤防沿いに歩んでくる美少女たちは、最初、語り手が出会った時は、その一人一人を見分けることは全く困難で、まるでどんな顔立ちや体つきをしているのか、分からなかったのだが、気持ちが落ち着くに連れて、漸く一人一人の少女を見分けるようになることが出来てくるのだった。
そこには老銀行家の頭上を飛び越えた大柄な少女がいた。ふっくらとしたバラ色の頬と緑色の目を水平線に浮き上がらせている小柄な少女がいた。陽焼けした肌の色と鼻筋の通ったひときわ目立つ少女がいた。いま一人の少女は、卵のように真っ白な瓜実顔に小さな鼻が弧を描いており、幼い子供にときおり見られる顔つきだった。さらに別の一人は背が高くケープを羽織っていた。そして、一人の娘は目深にかぶった「ポロ」帽の下から、きらきら光る冷たい目と、痩せた頬をのぞかせながら、自転車を押していた。
どんなことをしても、何とか、この美少女たちと知り合うという幸福を実現したい、と思う語り手だった。