ベルゴット

語り手が最初に作家ベルゴットの名を聞いたのは、年長の友人、ユダヤ系フランス人ブロックからだった。そして、ある日曜日、庭でベルゴットの本を読んでいると語り手の家を訪ねてきたスワンに声をかけられ、ベルゴットの作品を語り手に話したのは誰ですか、と訊ねられてブロックですと答えると、スワンは『ああ、あの少年ですか、ベルリーニの描いたマホメッド二世の肖像画にそっくりの。』と言うのだった。そしてスワンは語り手に『作家ベルゴットは良く知っています。何ならサインを貰ってあげましょうか?』と言うのだった。