神々の黄昏

別に日々、髪の毛が少なくなり、磯野波平化現象を気にしている(髪々のたそがれ)わけではない。
ワーグナーのオペラ「ニーベルングの指環」の「神々の黄昏」の日記である。
フジ子・へミングさんの熱演で話題となった「ラ・カンパネラ」の作曲者であるフランツ・リストにはコジマという名のお嬢さんがいた。そのお嬢さんコジマは既に結婚していて子供が二人いたのだが、24歳も年上の背の低い見栄えのしない中年男が好きになってしまって、芸能レポーターの追及も難のその、ついに結婚に漕ぎつける。
コジマとワーグナーの大不倫。
そのコジマとワーグナーの間には一人の可愛い男の子が生まれ、ジークフリートと名付けられる。ワーグナーは愛妻コジマの誕生日に「ジークフリート牧歌」を作曲した。
ジークフリートワーグナーは46歳の時、28歳年下の18歳になるイギリス生まれの孤児、ヴィニフレッドと結婚する。
二人の男子、ヴィーラントとヴォルフガングも生まれ、寂しかった孤児の時代に別れを告げることが出来たかにみえたヴィニフレッドを突然の不幸が襲う。こうるさい義母コジマと愛する夫ジークフリートの相次ぐ死(1930年)。
第一次世界大戦後のスーパー・インフレで苦しむドイツで、お父さんの建てたバイロイト歌劇場を維持するのは、ダイエー・ホークスや西武ライオンズを維持するのと同じくらい困難だった。で、ヴィニフレッド・ワーグナーはどうしたか?
バイロイト歌劇場をライブドア堀江社長に売却するわけにもいかないヴィニフレッド・ワーグナーが採った道は…。
そのへんは福田善之作・演出の舞台劇「新・ワーグナー家の女」に詳しいが、ヴィニフレッド・ワーグナー堀江社長ではなく、義母コジマと同じように、背の低い中年男に接近したのだった、あのアドルフ・ヒットラーに!