恋はスポーツカーに乗って

1898年、ルノーは「Voiturette」と名づけられた自作車で見事にモンマルトルの丘を登りきり、華麗なデビューを飾った。
今、私はプルーストの「失われた時を求めて」の感想日記を書いているのだが、ちょうど語り手と恋人アルベルチーヌが一般化し始めたばかりの自動車に乗って、海のバルベックをドライブするシーンが沢山出てくる。プルースト自身が描いた挿絵には「ミシュランのタイヤなら、スポーツマンとその妻が、サナトリウムでのように寝たままの姿勢で、時速50kmを出せます」と記されている。
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抄訳版 失われた時を求めて 3 (集英社文庫)

抄訳版 失われた時を求めて 3 (集英社文庫)

改めて今日の日記のタイトルをみれば、まるで語り手とアルベルチーヌの恋は順風満帆に進むかのような印象だが、実はもう既に語り手はアルベルチーヌに飽きてきていてそろそろ別れることを考えているのだったが、その後、語り手は急旋回し、アルベルチーヌと同棲するのだ、語り手をして急旋回させたものは?
それは嫉妬だった。