『市民ケーン』と『理髪師』とマリア・カラス

そうそう、ケーンは街角で、歯の痛い若い女性と偶然出会うのだったが、彼女はオペラ歌手志望だった。その、歯の痛い若いオペラ歌手はケーンにピアノの弾き語りで、ロッシーニの『セビリアの理髪師』のあのアリア、「今の歌声は…」を聞かせてあげるのだった。
このアリアは、マリア・カラス・ファンだったら誰もが知っている「パリ・デビュー」で歌われているので、カラスの「今の歌声は」を、その舞台映像と共に愛している方も多いだろう。
カラスはEMIに彼女の、それ程多くはないステレオ録音盤として、『理髪師』を録音している。僕は、時々、どうしようもなくマリア・カラスの「今の歌声は」を聴きたくなる時がある、のだった。