ベートーヴェンの交響曲第六番『田園』を聴き比べる。

mii06252003-09-09

一つは我がオットー・クレンペラー指揮の1964年のライブ、もう一つはアンドレ・クリュイタンス指揮の1955年スタジオ録音盤、いづれもオケはベルリン・フィルで、英国“TESTAMENT”社製である。
もともと『田園』は聴いていて恥ずかしくなるくらい、歌心に溢れた作品である。そういう作品をこれでもか、とばかりに歌わせる指揮者の田園は僕は好きではない。良い例がワルター
クリュイタンス盤はそういうワルターの流れに沿った“歌うベートーヴェン”だと感じた。
一方、我がクレンペラーは例によって“笑わん殿下”スタイルで“ぶっきらぼう”な田園である。この“ぶっきらぼう”さが『田園』にピッタリである。歌いたいところを我慢する、これが“粋(いき)”に通じる、こんなふうに思った、九月初旬の夜だった。