脂漏性皮膚炎とアトピー

皮脂腺の機能異常でおきる脂漏性皮膚炎とアレルギーでおきるアトピー皮膚炎、この一見、何の関係もなさそうな

二つの皮膚疾患が意外にも併発、合併してしまうことがある。

それはなぜか?

ステロイド(副腎皮質ホルモン)の外用薬によって、アトピーのかたに脂漏性皮膚炎様の炎症が起きてしまうのだ。

これは酒さ様皮膚炎とも呼ばれ一般に良く知られているところだが、この酒さ様皮膚炎までには至らなくても、軽度の紅斑性酒さ状態を呈してしまうアトピーの患者さんはけっこう多い。

ステロイドの長期外用、発汗、化粧等によって皮脂腺内にピチロスポルム菌、アクネ桿菌等が増殖して油性脂漏がシビアーになってしまうからだ。

ぼくはアトピーで長期間悩んでおられる患者さんに、朝は脂漏性皮膚炎の治療薬であるケトコナゾール(ニゾラール)を、そして夜にはアトピーの治療薬であるタクロリムス(プロトピック)を外用してもらって『いままでにこんなに綺麗になったことはありません。』と、とても喜んでいただいたことがある。

 ステロイドの外用による酒さ様皮膚炎の発現には不断の注意が必要である。