「花咲く乙女たちのかげに」第一部「スワン夫人をめぐって」

mii06252008-02-24


マルセル・プルーストの小説、「失われた時を求めて」再読も三冊目の半ばに達した。最初のときとスピードがぜんぜん違うのに、われながら吃驚している。

というのも、たとえ「マイスタージンガー」においてさえ、作曲家が小鳥のさえずりに耳を傾けながらどんなふうに音楽を作りあげるのかは容易に理解できないが、しかしベルゴットは、喜悦の叫びになって繰り返されたり、悲しみの吐息となって滴り落ちたりする言葉をいつまでも引きずっていくというその独特のやり方を、散文のなかに移し変え、そこに定着させていたからだ。