スワン家の方へ

ヴァントゥイュ

Combray [French]

Combray [French]

サディズムについての観念を語り手に抱かせたある体験は、メゼグリーズの散歩道をタンソンヴィルからさらに歩を進めたモンジューヴァンで起きたことなのだった。

ピアノ教師であり、作曲家でもあったヴァントゥイュはメゼグリーズの散歩道を先に行った、モンジューヴァンというところに住んでいたのだったが、、オリコンのヒット・チャートに載ることはおろか、作った楽曲を譜に残すこともままならず、同性愛者の娘のことを心配しながら亡くなったのだが、或る暑い夏の夜、語り手はふとした偶然から、ヴァントゥイュのお嬢さんと、その愛人の女性が、ある“行為”をなすところを目撃し、深い衝撃を受けるのだった。

語り手が衝撃を受けたワン・シーンというのは、少し前にヴァントゥイユは先立たれた妻のことを思い、娘の将来を思い煩いながら亡くなったのだが、残された娘と娘の愛人の女性はその死のために黒い喪服姿だったが、ヴァントゥイユの娘の愛人女性は暖炉棚の上のヴァントゥイユの写真に唾を吐いたのだ。